第一章 行政組織の再編成

(2)都道府県の廃止、道州制の導入

都道府県という行政組織は今本当に必要なのだろうか。何のために必要なのだろうか。私にはその理由が見つからない。都道府県よりももっと大きなくくりで行政のあり方を構成し直してもいいのではないのか。世界的に見ても行政区域の変更は多くの国で行われてきた。

アメリカは建国以来、州の変更を繰り返してきた。例えばアラスカやハワイなどは約60年ほど前、新たな領土として組み込まれて州となった。さすがにそれ以降の変更はないが、それまでには数えきれないほどの変更を繰り返してきたのである。

日本ではかねて道州制というものについて、形をいろいろと変えながら幾度となく議論されてきた。遡ること約1世紀前には州制ということで議論があったと聞く。さらには戦後まもなく道制案と州制案が内閣で議論されている。ごく最近のことであれば、2006年に国の地方制度調査会が具体的な道州制の区分け案を発表したが、議論は百家争鳴の様相を呈しまとまらなかった。各都道府県の都道府県庁所在地や行政さらには民間の思惑の違いは溝を埋めることができなかったのである。

首都機能移転においても同様であって、よくある話なのだ。しかしこれではいけない。政策には賛成、反対は付きものだが、どこかでマクロの視点で改革を断行せねば何も変わってはいかない。繰り返しになるが、私は都道府県というくくりはもう必要ないと思っている。これだけ交通網が発展を遂げ情報が瞬時に全世界を駆け巡る世にあって、1世紀半も前に定められたくくりはもっと時世に合ったものに変えていくべきなのである。

ただ変えることによって驚くほどの行政効果があるわけではない。都道府県の地方公務員が何十万人か何百万人かは定かでないが削減され、それらの人件費を含む経常経費が削減される、ということだろう。しかし、停滞を起こしている経済にショックを与えてリセットするという目的に対して一つの起因になるのではないのかと考える。

(3)市町村のさらなる合併が必要

さらに市町村の合併が必要であろう。皆さんご存じのように市町村の合併については「平成の合併」として2000年代当初に行われてきた。それによって3274の基礎的自治体が1718まで減少した。しかしながらまだ1718もの自治体が存在するのだ。中には人口が千人にも満たない自治体も沢山ある。これらの自治体が一つの自治体として存在せねばならない理由が分からない。

首長がいて議会があり多くの職員を抱え役所を有する。もういい加減適正規模の基礎的自治体にまとめたらどうだろうか。私にはそう思えてならない。適正規模というものについては人口が何人くらいがいいのか、面積はどのくらいがいいのかは、その時に議論をすればいいだろう。とにかくさらなる市町村の合併は断行すべきである。