第二章 "第2次所得倍増計画"の実施
(1)産業構造の転換
書くのは簡単だが、実際に行っていくのは大変なことだろう。池田内閣時代の所得倍増計画では石油、鉄鋼を中心とした重化学工業への転換が図られた。
日本はそれによって驚くほどの速さで発展を遂げ、1968(昭和43)年にはGNP(国民総生産)世界第2位まで駆け上がっていく。あまりに急激な発展であり、世界からは奇跡の復興といわれた。
そしてそれらの陰の部分として公害というマイナスの荷を背負ってしまったことも記憶をしておくべきであろう。
第1次所得倍増計画は重化学工業への転換であったが、第2次においてはデジタル革命によるICT(情報通信技術)産業やAI(人工知能)とロボットを組み合わせたトータルコーディネートを図るメソッドについてがポイントになるであろう。つまり日本国内のすべての産業の生産性を劇的に向上させる経営環境の革命を国と民間双方の提携によってトータルに取り組んでいく。
国は工業からはじまって商業、サービス業、観光業、農業、漁業、林業にわたるまで分野別にICT産業やAIロボットの導入方法を研究し、それらの研究成果を各分野の生産現場に配備していく。これらについては国が主導し国費投入の上、民間の各産業に浸透を図る。
このような政策により世界でトップの技術を目指して取り組むことが肝要である。2030年に向けて6G(第6世代の無線通信システム)においても世界の先陣を切らねばならぬことも付け加える。かつて1G(第1世代のアナログ方式通信システム)のトップを切った時のように。