同様に、電気の力が及ぶ場所(電場)や磁気の力が及ぶ場所(磁場)で、図1─3の模式図に示したように、ある面上で電気や磁気の力が強くなったり弱くなったりして(振動といいます)伝わる波のことと、ここでは考えておいてください。

[図1-3] 電磁波の模式図。電磁波とは、電場強度が変動することにより、その直交方向に変動する磁場が生じ、また磁場強度の変動から電場が生じる現象(電磁誘導)を繰り返しながら伝わっていく波と考えられています。電場と磁場との波動がずれている (たとえば、中央の線を横切る位置が電場と磁場では異なる)ことを電場と磁場との間に位相差があるといいます。

電場や磁場が振動すると、電場は振動方向の直角の向きの磁場を誘導し、また、磁場の振動は直角方向の電場を誘導します。この現象を電磁誘導と呼びますが、それを繰り返しながら伝わる波ということもできます。電磁誘導のことは、1-4-4で詳しく説明します。

電磁波は、波長により、いろいろな使い方をされ、呼び方も変わります(図1─2)。火にあたると体が暖かく感じるのは、赤外線と呼ばれる波長の電磁波を受けたからであり、携帯電話やテレビも電波と呼ばれる波長の電磁波を利用しています。私たちの目は波長の短い可視光にしか感度がないので、地表面で反射してくる光しか見えません。

しかし、地下深部まで透過する波長の長い電磁波を使えば、地下深部まで診ることができます。波長の長い電磁波以外にも、地下深部まで伝播する波として地震波があります。地震波は、自然の地震や人工的に地面を振動させることで発生しますが、地層や岩盤によって地震波速度が異なるので、その境界で反射や屈折をしながら地下を伝播します。

その他にも、地下の様子を伝える現象として、私たちを地球に引き付けている重力があります。地下に重い物体が埋まっていると、そこでは異常値を示します。また、地球に備わっている地磁気の強さも地下に強い磁化を持つ物体があると、そこでは異常な値を示します。このような地球に備わる物理現象を利用して地下を調べることができます。

【前回の記事を読む】地下を"診る" 見えなくても、診ることが出来る地下の様子。技術の発展が広げる解釈の可能性

次回更新は9月12日(木)、22時の予定です。

 

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