第2章 私が知っている妻のこと
妻として母として
沖縄にはこの10年ほど毎年出かけています。私たちにとって、ここも確かな故郷です。
結婚して次の年に長男、その2年後に次男、それから3年後に長女を授かりました。現在、長男は教師、次男は自動車メーカー勤務で、共に家族を支えています。長女は、金融業界でキャリアを積み重ねています。
妻は3人の子どもを夫に任され、家事や育児に明け暮れた日々でした。私は児童養護施設に勤務していて、男性職員3人が交代で宿直勤務をしていました。そのうちの一人は施設長なので、私ともう一人にその役割が任され、月に約半分は夜間勤務でした。
長男と次男がまだ幼かった頃、私が昼頃に出勤していくのをいつもベランダから手を振って見送ってくれました。「また来てね」という声を聴いてちょっと複雑な気持ちでした。でも妻は、そんな感傷に浸る時間さえなかっただろうと思います。
家族旅行にはよく出かけました。最初は父親から借りていたカローラバンを乗り回していました。初めて中古車を買ったのは20代後半で日産サニーでした。その後、新車を購入できるようになるまで10年近くかかっています。
初めて買った新車は、これも日産のプレセアという車です。流れるようなスタイルが気に入っていましたが、10年ほどで生産終了になったようです。
確か年末年始にかけて、家族で閑散とした東京にこの車で出かけたことがあります。その当時、勤務していた会社の契約保養所になっていた御殿山ガーデン・ホテルラフォーレ東京に泊まって年越しをしたことを思い出します。