第2章 私が知っている妻のこと
出会い 学生時代
妻の下宿は2階建て民家の一室で、いつも帰り際に下まで見送りに来てくれました。
その夜、下宿前の電信柱のそばに、いつものように駐車しておいたカローラに乗り込もうとドアに手をかけた時です。いつもは下宿の門のところで見送ってくれた妻が、その夜は車のそばまで来てくれていました。
私は妻が就職で引っ越す前に、どうしても伝えたかった思いをずっと抱えていました。言い出すきっかけと勇気がいつもすれ違いでした。それが、その時一つになった気がしました。
この時しかないと思い、妻の方に振り向きプロポーズをしました。
頷いてくれたようでした。妻にとっては大切な就職試験を控えた時期だったのに、よく付き合ってくれたと思います。それからしばらくして、埼玉県の教員採用試験に受かったと話してくれました。そして、その年の春先に引っ越しのトラックを見送りました。
教師を続けていたら
妻が教師をしていた頃のことは本当によく知りません。埼玉県川口市の中学校に赴任し、特殊学級(特別支援学級)の担任と家庭科を受け持っていたと聞いたことはあります。卓球の顧問も任されていて県下でも優秀な生徒がいたようで、県内や全国大会に付き添っていったことも話してくれました。
一度、横浜で会う約束をしたことがありました。ずっと離れていたせいか、ぎくしゃくしたデートでした。