第1章 試行錯誤の毎日─リハビリ・介護生活から現在まで─
生活の変化に戸惑う毎日
私たちにとって大波乱の年は終わりました。妻は年末年始もずっと病院暮らしでした。年が明け子どもたちも孫を連れて見舞いに来てくれました。幼子を抱いて幸せそうな妻の顔が今も心に残っています。
年始早々から、急に退院に向けてあわただしい日々が始まりました。
年末に妻と決めた土地の購入手続きは終わっていましたが、代金の支払いがまだ残っていました。自家用車がなかったので寒冷地仕様の軽自動車を買うことにしました。何度も移住先に足を運び、建設会社と間取りや設備などの打ち合わせを重ねました。キッチンや浴室の設備、内装、外壁、屋根などの決め事が続きました。
娘も一緒に同行し母親の考えを設計者に伝えてくれてとても助かりました。地鎮祭にも妻の代わりに立ち会ってくれました。建設会社の方が私に「若い奥さんだね」と言ったと話したら、娘はぷんぷん怒っていました。今では懐かしい思い出です。
病院では退院後の生活を見据えた公共バスの乗車体験を、リハビリスタッフが計画してくれたのもこの頃でした。当日は理学療法士、作業療法士の二人が付き添ってくれました。私も付き添いましたが、妻はバスのステップの段差に戸惑い乗車中も緊張の連続でした。急遽、現地で決まったエスカレーターの利用体験は、本当に怖かったと後で話してくれました。