マッシュしたポテトに細切にした大葉とコーンを和えた、変わり種だがシンプルなもの。塩コショウは控えめにしてある。意外なトッピングに対して、ヨシさんは驚きつつも、笑顔で「美味しそうじゃな~い!」と言ってくれた。
「これで出そうと思うけど、どうだろう、ちょっと味見してくれない?」
そうオヤジに言ったのは、初オーダーの1週間前だった。
「ん~、しょっぱさはなくなったけど、物足りないわけではない、ちゃんと深みがあるような・・・」
「調理酒を変えてみたんだ、少し甘いやつに」
「いいんじゃないか、これなら常連さんたちも文句はないはずだ、うん」
どうやらOKのようだった。
「このポテトサラダもいいな、こんなのどこで覚えたんだ?」
悪戯な笑顔を向けて心から嬉しそうに聞いてきた。
「企業秘密だよ」
気持ちよくなって話してしまうところだったが、秘密にしておいた。
ヨシさんは食べながら満足しているようだった。
「ちゃんとオヤジさんの生姜焼きが残りつつ、しっかりと味が整っていると思うよ。これなら宮さんもOK出すんじゃないかな」。