などと単調な仕事や低い給与からくる鬱憤を奈保子にぶつけ始めていた。

「男も女も能力次第。資格取得には協力するし、好きな仕事なんだから張り切って頑張れ」

などと結婚当初は言っていた。ダブルインカムノーキッズの時代には仕事帰りに待ち合わせて、世帯収入に余裕もあったことからグルメ雑誌に掲載される人気のある料理屋に出掛けたり、レストランなどの予約サイトを利用し背伸びして高級店などに行くことも多く、それなりの都会生活も享受したのだった。

だが子供も生まれ、生活も所帯じみてくると言うのだろうか、或いは恋人同士のような刺激も感動も次第に薄れ、外食にも飽きてくるとお互いの価値観の相違や不満も浮き彫りになってくるのだろう。

日本はいまだに世界のジェンダーギャップ指数ランキングでは百位以下、いまだにと言うより毎年後退しているくらいで開発途上国や共産圏諸国よりも低い。

そんな国で昭和世代の両親の間に生まれ育った夫は、口では男女平等とは言うものの「男らしさ」や「夫の威厳」みたいな古い価値観がすり込まれている。

収入の多さや経済的に頼られていることによって自分の存在価値が確認出来る。それが「主人」であり「夫」であり「世帯主」たる所以というもので、要は尊重され威張りたいのだ。頭は平成や令和の感覚でも、心の実態は昭和なのだ。

イスラム教の中でも比較的過激な宗派では、妻は夫の所有物であり夫は支配者なのだという。

日本の男たちも、妻は三歩下がって夫に従い……心のどこかではそれを望んでいるのだろう。無意識かもしれないが。

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次回更新は8月18日(日)、20時の予定です。

 

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