第四章 自信を得た高校時代
私は次第に
自分を大局的に見るようになっていきました。
自分の成長・進歩を自覚しつつ
自分の狭い殻から脱皮し、
社会人への橋を渡り始めたのです。
セーラー服
烏山には当時、小さな町に男子校と女子高と二校あり、近隣の町村から多くの学生が集まりました。新たな友達のことも勉強のことも、全く先が見えません。そんな不安な中、私の心を一新させるウキウキすることがありました。
母は、私の高校の制服や体育のユニフォームなどを新調してくれたのです。
制服はセーラー服です。紺色のセーラーカラーに三本の白い線があり、ひらひらした紺のネクタイでした。
スカートは折り目のついたひだスカートです。制服のことなど頭に無かっただけに、新しい制服で学校に通えるのが夢のようでした。その上、革の学生カバンも買ってあるのを見て、嬉しさを通り越し驚きで身体が固まってしまった程です。
その頃母は、町内で名の知れた料理屋に勤めていました。仕事は忙しそうでしたが、家の経済状況が少し良くなっていたようでした。
新しい制服を着ると、自然に心が弾んできます。嬉しさ一杯の高校生活が始まりました。
私はひだスカートを初めてはいたので、そのひだがとても気になり、毎日綺麗にたたんでいました。
ある日、折り目をくっきりさせたくて布団の下に入れ「寝押し」をしました。
朝起きてみると、その期待は見事に裏切られ、「おしゃれはまだ早いよ」と言わんばかりに、無残にも畳の目がくっきり移っていたのです。こんなにはっきり移るのかと畳を恨めしく思いました。