筋萎縮性側索硬化症患者の介護記録――踏み切った在宅介護
さすがプロ。雨が降ろうが槍が降ろうが・・・
静かな朝を迎えました。いつも車でにぎわうわが家の前の交差点も、今日はいつになく車の音が少ないと思って部屋のカーテンを開けてみますと、一面銀世界。
どうやら昨日の夜半から降ったらしく、雪が所によっては二、三十センチほども積もっているのです。そのためかいつも朝から賑やかにお喋りに余念のない雀やセキレイ達の姿もないのです。
びっくりして介護室に行くと、部屋はシーンとしています。ベッドの夫だけが目を覚ましていました。
そっと蒸しタオルで夫の顔を拭いていると、娘が目を覚まして、「この雪じゃ訪問看護師さんもヘルパーさんも、動けないでしょうと思うの。だからそうっと寝かしておいたのよ」
と言うのです。
(そうね、それが良いは)と私も納得していると、八時四十五分、「ピンポーン」(こんなに早く、しかもこんなにお天気の悪い日にどなた・・・)と思って玄関に出てみると、いつもお世話になっている訪問看護師さんが立っていらっしゃいました。
「こんなに雪で真っ白ではとても危なくて車も走れないでしょうから、今日は家族だけで夫を看ようとのんびりしておりました。こんなに足元の悪い中本当にすみません」