「あれっ。」
と思いながら、
「私たちの多くは仏教を信じています。」
と言うと、沈黙。
「授業で宗教の話はタブーなのかなぁ?」
と思いながら、日本では、
「『仏』はブッダだったり、阿弥陀仏だったり、亡くなった人だったりしますが、『神道』というものもあって、『自然の中の海や川、山や大地にも神々がいて、私たちが使っている道具にも神が宿っているという考え方もある。」
という話をすると、
「神や仏がそんなにたくさんいるの?」
と言われた。その授業の担当教師は、ギリシャ神話を例にとり、神は唯一物ではないという国や地域があることを話されていた。
「さすが高校はちがうなぁ。」
と思った。生徒の反応が薄いというよりも、内に秘めているところが多い。実際授業のあと、二、三人の生徒が感想を述べに来てくれた。
また、
「宗教の話をする時は、自分自身も、よく仏教のことを学んでおかなければならない。」
と反省した。しかし、考えてみると、仏教を学ぶ動機は、こんなことでよいのかという疑問も残った。いろいろと考えさせられた高校での授業だった。
今の小学校へは、校長のミズ・マックアルーンから紹介されたホストファミリーの家から通わせてもらっていた。真白い板張りの壁のきれいな二階建ての家だった。玄関には、「ウェルカム・ケンジ」と書かれた紙が貼ってあった。
ホストファミリーの家は、「ワッツさん」といった。
ワッツさん夫妻には二人の娘がいて、一人は高校生、もう一人は小学生だった。その二人の子どもたちは、少し人見知りをして、なかなか話をしてくれなかったが、言葉少なにやさしく応対してくれた。
この家で二ヶ月お世話になった。
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