プラスチック加工機械の輸入・販売で大苦戦

電池が発火のクレームが出た

台湾から輸入しているニッケル水素電池は格安で売れていましたが、バラツキがあって、販売を始めてからいろいろなクレームが数多く発生しました。

通電しない、充電できない、液漏れする、充電器のノイズがひどい等、この電池の品質は良くなくて、台湾メーカーもなかなか改善してくれなかったので大変不安でした。

特に、充電式電池は不注意で短絡させたら、破裂や発火の恐れがあります。2003年春、電池が発火したというクレームが出ました。得意先はお客様の家へ行って謝り、床のリフォーム費用50万円ほどを負担してくれました。

そこで、電池の取引を縮小して別の商売をしようと考えました。アルカリ乾電池はそのようなクレームはあまりないが、当時私は会社のスローガンを「充電池が環境にやさしくてエコだ」と定めていたため、充電できないアルカリ乾電池やボタン電池等使い捨ての電池を輸入販売したくなかったのです。

そこで、何回も中国へ行って電子部品関係の展示会を見学し、雑誌を買ってもっと良い電池メーカーがあるかを探してみました。

しかし、当時中国の電池メーカーは品質がそんなに良くなかったので、見学してもなかなかいい仕入先を見つけられませんでした。その結果、売上は伸びず、かなり悩みました。

ついにアコス社から独立

4年間会社を経営した経験があって大体会社の仕組みとやり方はわかっていたので、大きな失敗はなかったと思います。

とはいえ輸入している電池の品質はあまり良くありませんでしたから、もし大きな事故があって新聞に掲載されたら学校や病院などへ食品を販売しているアコス社に大変な迷惑をかけます。そこで二見専務と相談して、独立しようとしました。すると、二見専務はこう言いました。

「今、ジンさんのやっている製品のことは私はあまりわからないから、アドバイスもできません。この4年間やった実績があったし、もう独立しても大丈夫だろう。しかし、今までやったことを見て性格的には冒険が好きだとわかる。経営したらもうちょっと慎重にやりなさいね」

そこで、私は家内と一緒に貯金した1000万円を資本金にして、2006年3月新しいネクセルジャパン社をアコス社の建物の一角を借りて設立しました。

それまでの在庫品やお客様を全部譲り受けて商売を始めました。貯金はほぼゼロとなっていましたが、もう一度利益の出る新商品を見つけ、輸入販売してみようと考えました。

こうして、独立して商売で一人前になろうとしますが、商売の経験はまだ小学生みたいなものでしたので、いつも謙虚な気持ちで商売を勉強しなければならないと覚悟して、信用第一でお客様に信頼されるような会社をしっかり作ろうと心に決めました。

 

【前回の記事を読む】2台分を無償で納品したのに…「取引をやめます」!?中国人起業家が気付いた、日本との製品品質に対する認識の違いとは?

次回更新は6月30日(日)、12時の予定です。

 

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