第3章 遂に独立。日本で創業

商売で印象に残った五つのこと

日本の会社が100%良品を作れるわけ

それを聞いた電池メーカーの社長は怒って「保証できない」と言いました。

そこで、お客様の担当者は「そう言われても仕方はないが、完全な良品を作るには、こうするのが一番の早道です。まず全工程のリスクをすべて除去することと、今後顧客からのトラブルがあったときは原因究明後対策を取ることによって、徐々に完全な良品が作れるのです。日本のメーカーはこのような作業を繰り返して、品質が良い製品を世界に販売できて信頼されています」と教えてくれました。

私はその内容を工場の皆さんにわかりやすく説明しました。彼らはなかなか難しいと言いましたが、私にとっては大変勉強になり、日本製品の品質管理に対する認識を一気に高めました。

製品の品質に対する認識の違い

⃝二番目は製品の品質に対する認識です。

初めてお客様からのご依頼で電池パックを作ったときのことです。中国の協力会社に依頼して作らせる際多めに作らせました。

お客様の注文数は100台でしたが、中国メーカーは102台作りました。私はそのまま納品して、100台分を請求しましたが、2台は無償で提供しました。するとそのお客様から電話があり「どうして2台無償でもらえるのですか」と聞きます。

私は「もしかしたら不良品が出るかもしれないので、2台ただで差し上げます」と答えました。それに対してお客様から「作った製品の品質に対して全く問題はないという自信がなければ取引をやめます」と言われました。

これはかなりカルチャーショックでした。中国では普通ただで数台もらうと喜んでいますが、日本では逆に品質に対する不安を感じるのです。

例えば日本の店でカメラ等を買うとき、日本人は箱を開いて確認しません。中国では確認しないともし不良品だった場合、買主の責任となります。実は、上海で買った携帯電話は数日使って壊れましたが、買ったときにそれをよく確認しなかったという理由でなかなか交換・返品をしてくれなくて本当に腹が立ちました。