「ねえ。私、思うんだけど、出展コーナーを設けるだけじゃなくて、今年は、コーヒーショップもやってみたらどうかな?」
「あっ。それいいと思う。おもしろいと思う」
「家で、クッキーとパウンドケーキを焼いて、ドリップコーヒーと一緒にお客さんに提供するのよ」
「わーっ、ステキ」
「そして、コーヒーとお菓子を食べながら、私たちの描いた絵をお客さんたちに鑑賞してもらうのね?」
「いい、いい。それやりたい」
「教室を一室使って、絵を展示して、テーブルと椅子を並べてお店にするのよ」
「机を二台並べて、テーブルにすることができるよね」
「三年生は、絵は出展するけれど、お店には参加しませんよ。なにしろ私たちは一学期で引退するんだから」
「大丈夫です。二年生と一年生で六名スタッフがいます」
「三年生の先輩たちは、お客さんとして、お店にいらして下さい」
「一年生どう思う? できそう?」
「はい。二年生の先輩が中心になってリードして下されば」
「僕も、コーヒーショップやってみたいです」
「二年生は、全員賛成ですか?」
「はい、賛成です」
「ぜひ、やってみたいです」
「私、お菓子作りは得意です」
「僕は、コーヒーをドリップする係をしますよ」
「それでは、一・二年生全員賛成なのね?」
「はい」
「わかりました。生徒会へは、私から連絡しておきます」
「二年生にとっては、高校生活、一度切りの文化祭を、思い出深いものとしたいね」
私たち全員、明るい笑顔で頷き合った。
一学期が終了し、七月になって、夏休みが始まった。私は、子どもの時から、夏休みの宿題は、夏休みの初めに終わらせるタイプの人間で、高校一年の夏も、休みが始まると同時に宿題をやり始めた。
私は休みはゆっくり過ごしたいので、課題は早めに終了させておきたいのだ。
夏の朝は日差しが明るい。私は休みの日も朝の六時に起床する。顔を洗って化粧水をつけてから、日焼け止めクリームを塗る。アイスティーを作って、トーストと一緒に食べる。パジャマから部屋着に着替える。それから学校の宿題をする。
宿題は、学校の先生が作って下さったプリント問題だ。数学、国語、英語。難しくて解答するのに時間がかかる。十時に一度休憩を入れて、お昼の十二時まで勉強する
昼食のあとは、音楽を聞いたり、昼寝をしたり、マンガを読んだり、気ままに過ごす。でも、朝から午前中にかけて、集中して勉強をしたおかげで、宿題は七月中に全て完了させることができた。
【前回の記事を読む】独身だけれど、私にもそれなりの恋愛物語があった。そう、あれは、今から四十九年前…