人と人との関係から生活は成り立っている。 そんな当たり前への立ち返りに、心が癒される短篇集。 「私と智哉は、あまり会話はしない。だけれど、私たちは、お互いが、お互いに対して満足していることを知っている。……お互いに、お互いがいることに安心している。」(本文より) 家族の、友人の、その絆は時にもろく、たゆたい、もつれるもの。 相手がいなければ、怒っても、嘆いても、叫んでも、返ってくるものはない。 あなたがいる――その存在の奇跡に、あたたかな眼差しを向ける珠玉の6篇。