「問題は何故、この世界の者がエガミの事を小説として書いているのかと言う事と、太陽の国は何故この世界と繋がっているのかと言う事。そして君が持っていたあの本は何なのか? 教会に突然現れたあの獣は何処から来たのか? あんな獣は太陽の国では見た事がない……」

ムスクは疑問に思っている事を自問自答しているように話していたが、カイユは聞いた。

「そう言えば何故ムスクは、小説『雲海のエガミ』の事を知っているの? 今、作者の家へ向かっているけど、どうやって知ったの?」

「小説のことは、ゼノからこの世界に送り込まれる前に聞いたんだ。ゼノは太陽の国の者ではなく、彼は師匠なる者からメッセージを受け取り行動していて、本を手に入れたら太陽の国に渡さず、太陽の国の兵士に変装したゼノに渡す手筈だった。

どうやらあの本が、重要な物らしく皆、血眼になって探している。それが太陽の国に渡ると、まずい事態になるらしい。俺は詳しい事は分からないんだが……、導き手の『幕開けの子』つまり君から本を奪えば、始まらないとかで……。

それなのに本は教会の手に渡ってしまった。今は何処にあるのやら……。小説家の家は、もしもの時の為に聞いていたんだ。どうやらゼノの師匠はモンドに居るようで、こっちの事情をよく知っている人物のようだった……」

「どうして、ムスクは教会から僕を助けてくれたの?」

「助けた……? 俺には、この世界をよく知る協力者が必要だ。それだけだ……」

とムスクはぶっきら棒に答えた後、ゼノから言われた事を思い出した。

『導き手の幕開けの子が想像主へ導く……。もし本が手に入らなかったら幕開けの子と行動するんだ』

ゼノはそう言って、ムスクの額に0の刻印を記憶で模様を作り写していた。

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