一度、タカシくんがAくんの暴力に耐えきれず、担任に強く訴えたことがありました。担任は些細なことと判断したのか、何ら具体的な対応をとりませんでした。タカシくんが泣きそうになった場面を当時の同級生たちが覚えています。

しかし第三者委員会の聞き取り調査に対し、担任は「タカシくんを見守っていくこと、つらいときはすぐにいうよう伝えた」と答えています。

不登校のはじまり

4年生の3学期は、コロナ禍で全国一斉の休校となりました。どの学校も卒業式や終了式はなくなり、タカシくんの学年もそのままのクラスで5年生に進級しました。

コロナ禍の自粛明け、突然タカシくんが「学校が怖い」と固まってしまいました。家族が何をたずねても口をつぐんだままです。

母親は直ぐに学校に電話しましたが、新しい担任は「何が怖いんでしょうね~」とまるで他人事のように返答しました。母親はぐずるタカシくんを説得し、何とか学校に向かわせました。

年末から年明けにかけ、立て続けに大きな事件が起きました。

休み時間、Aくんがタカシくんを押し倒すと両足をつかんで教室中を引き回したのです。

いきなりのことだったので、タカシくんは「お願い、やめて」と叫ぶのがやっとでした。でもAくんは、「俺は空手をやっている。はむかうと分かっとるな」と脅しました。当時、教室には数人の女の子がいましたが、だれもとめることはできませんでした。

さらに下校時、Aくんが後ろからやってきて、いきなりタカシくんの後頭部を強く叩くとそのまま田んぼに突き落としたのです。Aくんは遊び感覚で、いっしょに下校していたタカシくんの友だちの髪の毛を笑いながら引っ張り、首を絞めました。

翌日の1月6日、タカシくんは学校に登校できなくなりました。不登校の始まりです。

タカシくんは学校の話になるとおびえ、目は血走り、食事もとれなくなり、夜も眠れずに朝になってもベッドから起き上がれなくなりました。

そして母親に向かって、「お母さんがぼくを殺して死なせてほしい」「学校にどうしても怖くて行けん。精神的におかしくなってしまう」と泣き叫びました。

 

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