「自分に自信が持てなかったからね。」

「でも」・・・・・・・・・と、シンの瞳を見つめながら、ユウは続く言葉をまっすぐ伝えた。

「誰かさんのおかげで、自信を持てるように頑張ろうって・・・・・・・思えたんだ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「僕の中の勇者は・・・・・・・ずっと、その誰かさんのままだよ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「これからも頼りにしてるよ、勇者様。」

「・・・・・・・・・・・・・・・おう。」

シンは、どこか気恥ずかしそうに言葉を返すのだった。

とある渓谷(討伐再開)

「・・・・・・・・・・・・」

なんとも言えないような薄気味悪さを感じて、シンは後ろを振り向いた。

「どうしたの?」

相棒の行動が気になり、ユウも視線を後ろに向ける。

「なにも感じないか? ・・・・・ユウ。」

「感じるって・・・・・なにが?」

「・・・・・・・・・いや、なんでもない。」

気にしすぎか・・・・・・・と、シンは自分にそう言い聞かせて、歩くのを再開した。

ゴゴッ

「「!!」」

歩くのを再開した途端、自分達の足下から・・・・・・「なにか」が尋常じゃない速さで迫り来るのを、2人ははっきりと感じ取った。

「飛ぶぞ! ユウ!」

「うん!」

時間にして、1秒にも満たない小さな瞬間。

全開の魔力を身に纏い、2人はすかさず臨戦態勢に移る。

針の穴に糸を通すほどの精密な魔力操作を、シンとユウはこともなげにやってのけた。

 

ゴゴゴガガゴォォォォンッ!