「セールスイネーブルメント」の定義を調べると、色々な会社が複雑な説明をしていて、シンプルなものが好きな私にとって理想的な答えは見つけられませんでした。結果として、「属人化をなくして、皆が売れる営業になるためにトレーニングをすること」程度の言語化に留まっておりました。

帰国後、電話・商談解析ツール「アンプトーク」をご提供することになり、よりセールスイネーブルメントという世界に足を踏み入れたことと、純粋な知識欲からあらゆることを調べてたどり着いた結論は、〝複雑な営業組織の問題を解いていくのに、シンプルな説明など不可能である〟ということでした。

そもそも人間の深い心情や欲求が絡み合っていたり、営業も顧客も関わる人物が多い場合がある上に定量化しにくい変数が多く、それらを紐解いてシステムで解決しようということ自体、一言で説明できるはずがありません。

本文にも一部出てきますが、製造やエンジニアリングのプロセスの考え方を営業に当てはめてみようという発想から始まり、変数の多い営業組織の課題を極力わかりやすく分解してシステム思考で解決していくのがセールスイネーブルメントなのです。

冒頭で述べたような一見「気合いと根性」だけに見える営業の行動も実は、セールスイネーブルメントの領域では「営業メソッド」や「営業プロセス」といった本書のブロックで説明可能な内容です。こうしたことを理解していくと、この概念が完全にインストールされれば、営業を科学する未来が作れるかもしれないという感覚になることができます。

セールスイネーブルメントは北米からきた概念であり、英語での情報はとても多いです。数多くの書籍がある中で、Mike Kunkleのビルディングブロック式セールスイネーブルメントは、彼の長年のノウハウが詰め込まれ、それでいてシンプルにまとまっています。

 

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