思いつく一つは、韓国人に創氏改名を求めたことである。これは韓国人の自尊心を傷つけた最たるものである。日韓は多くの問題を抱えているが、最近、韓国大統領と日本の首相間の話し合いで両国間の壁が次第に低くなっている。日本と韓国は隣国。

日本の文化の多くは、初めは中国の文化が韓国を経由して日本に伝わり、また韓国独自の文化が日本に伝えられたのを、日本独自の文化に加えて巧みに取り入れてきたものだ。明治維新前後からは欧米の文化も取り入れたが、依然として中国の古典は日本人の心に響き、多くの方が学び続けている。ここには壁がない。

ただ現在、中国は共産主義国家であり、自由主義国家の日本との間には大きな壁があるのは残念である。

心の壁

これも社会で生きていくのに、大きな支障となるものを含んでいる。自分の心に壁を作っている人の特徴は、自分のことを言いたくない、感情を出さない、他人との交流をしない、などであろうか。

また、自分の行為に対して相手も壁を作る、自分と相手の間の壁をどのように壊せばよいか、まさに、心理学のテーマ、簡単に言えば人生相談の範囲でもある。

また、精神科や心療内科で取り扱う心の病気も心の壁と関係する。それらの詳細な判断、相談は専門家の領域である。精神科領域のある種の疾患で、自分で心の壁を取り払うことができない場合は治療により、壁をなくすことが可能であろう。

自分と他人の間の壁は、壁を取り払って、仲良くなるか、壁で、相手からの働きかけを遮断するかは、まず、自分が決めることである。

加島祥造の『受いれる』(小学館、2012年)、『求めない』(小学館、2007年)は自分と相手の壁をなくすことを述べている。中国古典、老子の思想による。「ありのままに」も同じ心境である。

また、心については高橋伸忠の『心の持ち方ひとつで人生が変わる!』(PHP研究所、2019年)というタイトルの本がある。生きていく上で、自分と相手の壁の問題は避けられないだろう。

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