もはや白浜を回っている余裕等なく、そのまま直進して今日の目的地である御坊市内を目指し、ひたすらペダルを漕ぎ進むが、今日の区間は以前長距離サイクリング時に走った経験があり、その時に入ったコンビニが現れると何故かホッとした気持ちになった。その後は落ち着いて距離を重ねて17時前には到着出来たので、そう悪い自転車人生ではないと実感する事も出来た。
今日の宿泊ホテルは市街地から離れたところに位置しており、夕食をどうするかとホテルの方に相談すると、目の前に居酒屋らしきものがあるとの事で入店してみたが、これがお造りから焼き飯まで揃っていて、十分満足出来た。きっと繁華街で営業すれば更に繁盛出来る、とても美味しいお店であり、こんな出会いも旅の醍醐味だ。
連日120km超の区間距離に加えて、獲得標高も1000mを超える厳しい紀伊半島海岸線の環境下の中だったが、こうして束の間の安堵感を味わえたのだった。
3月9日(水)12日目 御坊 有田市 海南市 和歌山市 和歌山県庁 岩出市 橋本市
走行距離106.8km/STAGE 累計距離1275.7km/総累計距離(12日目) 1275.7km
気が付けばここまで約1200kmを1日平均100kmで休みなく走り続けており、疲労がかなり蓄積された中でスタート。紀伊半島海岸線最後のアップダウンをやり過ごす。
当初の行程では雨が降ったら現地に留まり休息日とするつもりでいたのだが、とにかく珍しくもここまで雨予報がないので当然雨も降らず、従っていくしかない状況に追いやられている。
だが一方でこのままずっと降らなければ良いと思う自分もいる。自転車においては雨の中走る事以上に辛い事はないと十分思い知らされているからだろう。
今日も沢山のトンネルをくぐった先にようやく和歌山の街が見えてきて、これで紀伊半島ともお別れだ。思えば海がとてもきれいで、お刺身や干物等の魚も美味しかったが、海から吹く強風と延々と続く海岸線のアップダウンに加えて、もう幾つくぐったか定かでない程のトンネル達ともお別れするのは、少し寂しい。
市街地に入り、この旅で7カ所目の和歌山県庁を通過。実はこの和歌山は母が生まれた地であり、故に名前を「うた代」と名付けられたそうで、若い頃の一人旅や長距離サイクリングで走る等、思い返せば不思議な力で和歌山に引き寄せられてきた事も、何となく納得出来る理由があったのだ。
【前回の記事を読む】熊野古道は人生のリセット場所?民宿で聞いた旅人たちの話に共感
次回更新は4月7日(日)、8時の予定です。