しかし、今まで十個売って仮に百万円の売上を作っていたとして、それを十二個売って百万円の売上を維持しようとすると、その二個分の仕入れ経費が余計にかかってくる計算になります。すると企業の利益は、その分更に蝕まれていく事になるのです。

昨今、国内マーケットだけをターゲットにした中小企業……、とりわけサービス業はデフレスパイラルによって徐々にその利益幅が薄くなってきています。

そんな中で企業の経営者は、従業員の給料や取引先を守るために、自分の給料を削ってまでも会社の運営を何とか維持しようと努めてきました。

何度も書きましたが二〇三〇年代から、本格的に少子高齢化の大津波がやってくるのです。日本のGDPが毎年マイナス成長し続ける悪夢のような日が、すぐそこまで迫ってきています。

そんな状況で、平気で最低賃金を上げ続け、そして更に赤字でも逃げようのない消費税の増税が来たら、日本の中小企業は一体どうなってしまうのでしょうか? そうなれば、ますます一般国民の給料は下がり続け、更に少子高齢化に拍車をかけるような事になってしまいます。

皆さんもご存じでしょうが、今の日本の国際的な競争力を築いてきたのは、間違いなく我が国の中小企業の技術力です。これが日本の品質の高いサービスや商品を生み出す土台になっているのですが、この中小企業が今、政府の少子高齢化対策の無策によって、大変な危機に直面しています。

本来、年金生活者をはじめとした国民生活は、国の繁栄があってこそはじめて安心や安定が得られるのではないでしょうか。けっして、税収の安定があるからではありません。そして、税収の安定も国の繁栄があってこそです。それを犠牲にしては結局何も得られないという事を政治家も官僚も、もうそろそろ理解するべきなのです。

しかし、ここまで財務内容が悪化してくると、本当に一番大事なものほど見えなくなってしまいます。ハッキリいっておきますが、消費税を上げるという事は日本の国力を削ぎ落とし、ひいては日本の繁栄をも犠牲にするという事なのです。

現在の官僚や政治家に聞きます。日本経済がどんなにボロボロになっても、今のまま緊縮財政を続ければ、本当に財政再建ができると信じているのですか?

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