「元気の花」の育て方 〜精神疾患のある中学理科教師が考える、幸せの秘密〜

はじめに

2つ目は、たくさんの人にもっと元気になってほしいと思ったからです。最近の日本人は、自分の人生に絶望していたり、苦しんでいたり、もやもやを抱えて元気になれない人が多くいます。また悲しいことに自ら命を絶つ「自殺」という道を選ぶ人もいます。

死に至らなくとも、そういった行為に及ぶ人は自殺者の陰に隠れてものすごい人数がいます。実際に私の友人や教え子の中にも自殺を選び、とても若くして亡くなってしまった人が何人かいます。入院先で出会った友人にも、自殺を図り、「運良く失敗」して命拾いし、入院していた人もたくさんいます。

私自身も、もう死んじゃってもいいかなぁと、考えてしまう時がたまにあります。でも、死んでしまったらそれで終わりです。苦しいことはないけれど、楽しいこともありません。そして何より、ご家族を中心に、周りの人達の悲しみや苦しみは一生癒(い)えません。

私はそういった悲しみや、ご家族や周りの人達のつらさをたくさん見てきました。だからこそ、このようなことが少しでもなくなり、みんなが元気になるような活動がしたいと思ったのが2つ目の理由です。

中学校の理科教師であるため、また自分が精神疾患者であるからこそ気づけたことがあります。私は人が好きで、出会う人にも恵まれてきました。その人達からたくさんの温かい言葉、生きる糧(かて)やヒントをいただきました。それが今の自分を作っています。

言葉には、人の気持ちをプラスに向かわせる大きな力があると実感しています。この本の内容は、あたりまえのことが多く、こんなことは知っていると思われる部分も多いと思います。しかし、知っていても普段は忘れてしまっていることはよくあります。

読んでくださった方が、この本を通して、何かを思い出し、明日に向かって元気に生きるためのヒントを見つけられたら幸いです。

  • 第一章 元気になるってどういうこと?

そもそも元気とは何でしょうか。というより、私達人間はどういう生物なのかと考えたことはありますか? 元気を知るために、まずこの章では人間とはどういう生物なのかということについて少しだけ触れてみたいと思います。