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一、壁
死界からの使者
やわらかに 時々 壁をたたく
だれか わからない
ほとんど 聞き取れない
わたしは 無視する
もし その音が
強くはっきりと 聞き取れたら
お迎えが 来たか とおもう。
生死の壁を 取り除くのは だれか
わたしは 知らない
「求めない」 「あるがままに」で
過ごした 毎日
世界や 自分を 取り囲む 壁を
わたしは 探ってた
心に浮かぶ 言葉は ただ 一つ
「風立ちぬ いざ 生きめやも」
私は生きていく上で、「壁」というものの存在が気になっていた。日常生活を営む中、あらゆる場面で「壁」を感じるからである。人との隔たり、世の中の閉塞感、正義を押し売りする世間の空気など、その正体は様々である。世間で言われている「分断」もその一つではないだろうか。