『あんまり詳細な諸事情はリーダーに口止めされてるから言えない。言えることはチームの目的は憑依生命体対策本部(SPH)の内部を探って真相を掴むこと。人数は7人、確かな結束は無いかもしれないけど、皆良い人ばかりで人に悪さをしようとする人はいないよ』
レポートのように書き連なった文面に、見入るように顔を近づけた。
今の俺からすれば写メりたいくらい重要な情報だ。
実際この回答に次いで「どんなふうにSPH内に潜り込んでいるのか? 真相とは何か?」と書こうと思ったが、上の文面にも書いてある通り、これ以上の詳しい事や活動の具体例を説明するのは厳禁だろうと思い、手を止めた。
その代わり、最後に『いろいろ教えてくれてありがとう』と文面を送り、話を終えた。
気付けば授業は開始から30分も経過していた。
その後も、数学、英語、社会と淡々と授業が続いて、俺は3限目の英語の時間に無意識に腹が「グーグー」と鳴るので、それを阻止する為にこまめに両手で腹を抑え、半泣きになりながらも腹の音の振動を抑えるために汗をかいた。隣に座る彼女からしたら、聞こえたかもしれない上、俺の挙動に何か勘づいたかもしれない。
そうだとすれば、想像するだけでも羞恥のボルテージが上がり、発狂したくなる。
「(あー! もー! 何で、こんな……!!)」
俺は給食一つ前の4時限目よりも3限目の方が腹が鳴る。
「(何で、皆、腹の虫が鳴らないんだろう? ……もうやだ、帰りたい。学校ってこんなにも困難な所だっけ)」
「今日も放課後にルナ姉に会いに行こう、そうしよう」
そんなことを思っても、生徒全員に平等に時間はやってきて、そうこうしている内に5時限目の体育は始まる。
体育の種目はバレーボールだ。
勿論のこと、俺は不器用体質でスパイク等を打てる訳でもないのでプレー自体に期待されることはまず無い。
しかし、ルールでポジションをローテーションしなければいけなかったので、ゲーム中に何度もセッター等大役を任された。その度に俺は全力でボールに当たりに行くプレーをしたが、自分の思い通りにボールが飛んでいかなかったり、トス等も手の当たり具合を試しながらやったので、上出来とは思えない結果で終わった。
そして、教室に帰り着替えて帰りの会が始まり、その後に決まりきったように市民病院へ行く。
放課後を迎えると、夕暮れには少し早い時間帯になる。
生徒の皆が一様にグラウンドで部活に励んでいる姿が金網越しに確認出来、それを横目に真っすぐ病院へ向かう。