第一話 ハイティーン・ブギウギ ~青松純平の巻~

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「いちおう所轄の交通課が臨場するので、実況見分が行われると思いますよ」

「当然、指紋の有無も調べますよね? 知らない誰かの指紋が見つかれば、必ずしも健太が犯人とはいえないのではないでしょうか」

「わかりました。交通課の鑑識に同期がいるので、指紋を徹底的に調べるよう、それとなく頼んでみましょう」

ほどなく、白と黒のツートンカラーのワゴン車が到着した。

ライトブルーの作業着を着た交通鑑識係員たちが慌ただしく下車すると、一丸となって事故現場の調査を始めた。現場の写真を撮影したり、自転車のブレーキ痕を測定したり、きびきびと動き回っている。

赤星先輩は興味津々な目をしていた。俺もこんな近くで見るのは初めてだった。

と、明王、光司、幸広が聞き込みから戻ってきた。

「第一発見者は麦わら帽子をかぶった農家のおばあちゃんだ。農作業の帰りにたまたま、うずくまっている健太くんと被害者の老女を見かけたらしい」

明王に続いて、光司が報告する。

「そのおばあちゃんは事故現場の近くに住む知り合いの中年女性の家に駆け込み、状況を説明した。中年女性は現場を確認した後に、急いで救急車の手配と通報をしてくれたってわけ」

最後に、幸広。

「農家のおばあちゃん、人参くれたよ。形が悪いから売り物にならないからって」

案の定、幸広は事故とは関係のない食べ物絡みの報告だった。まあ、警察官と同じ質問をされて嫌な顔をせずに気分よく話をしてくれたのならよしとするか。

「協力してくれるのは嬉しいけどさ。俺の顔見て言ってくれないかな」