何故、そのようなことをオススメするかというと、これが結構楽しめる。どのように楽しむかは本編に譲るとして、楽しみながら、あなたの生き様、メッセージを、大げさに言うとあなたの生きた証しを、子や孫、あるいは後世に残すことができるのである。
ところで、「辞世でも、ひとつ……」と思うと、自分の人生における生き様や思いを言葉に置き換える必要が生じる。たとえば、自分を誉めてやりたい順風満帆な人生、結婚もし子も育てそこそこ頑張ったほぼ満足の人生、何となく過ごしてきた平々凡々な人生、考えれば愚痴しか出てこない運に恵まれない人生、人様に言えないような恥ずかしい人生。これまでがどのような生き様であれ、まず、そのすべてを肯定しなければ、辞世の言葉は出てこない。
言い換えれば、辞世を書くことは、自分自身を肯定することである。ここでオススメする辞世は、ほとんど趣味、あるいは洒落であるから、毎年でも、毎月でも、書くことができる。そのような頻度で、自分のすべてを肯定する作業は、生きる勇気をも与えてくれるかもしれない。
さあ、それでは、あくまでもお気楽な「辞世」の世界へ……。
1 さて、お別れに、何を残そうか……
(1)どうやら人生は一回きりらしい
私たちの住む天の川銀河は、40億年後に間違いなくアンドロメダ銀河と衝突する。と、NASAが発表したのは、2012年。しかし、ご安心を。双方とも銀河の中の空間があまりにも広大なので、星と星が衝突する確率はほぼゼロということらしい。
地球を含む太陽系は、引力あるいは重力バランスの作用で少し吹き飛ばされてもそのまま存続するという。地球の夜空では、天の川がアンドロメダの星たちと交錯し変容していく壮大な絵巻が20億年ほど繰り広げられるそうだ。