「よっし! 決まり! じゃ、本日の委員会は終わり!」
イガグリ頭の累が言う。
「ちょっと、あんた委員長じゃないのに何、仕切っているの?」
委員長の真紀が不満そうに言う。
ハハハハハ……。みんなの笑顔。
笑顔の渦の中で、果音も照れくさそうに笑った。
家に帰ってきてからも、果音のドキドキは止まらなかった。他のクラスの人や先輩たちの前で発言したことや、自ら進んでイラストを描いてみると言ったことが、自分でも信じられなかった。
まずは、イラストをみんなに見せなければならない。描き溜めておいたイラストはかなりあったが、『健康だより』に載せるのなら新しく描いた方がいいかも。迷った挙句、やっと一枚のイラストを完成させた。
あくる朝、果音は登校してすぐに、三年生の教室へ向かった。
「あ、すみません。保健委員長の真紀先輩いますか?」
窓辺で友達とおしゃべりしていた真紀と目が合う。
「あれ? 果音ちゃん、もしかしてイラスト?」
「は、はい。これ」
果音はイラストが描かれた画用紙を真紀に差し出す。真紀はイラストを手にした瞬間、突然大きな声を出した。
「すごい! これバーバラだ!」
「何?」「何?」
真紀の声に驚いた三年生が集まる。そして口々に感想を言う。
「お~うめ~」
「バーバラだ!」
「すごい! 特徴つかんでいるね」
「わ! 保健室の先生だ!」
「本当だ! 日高由美先生だ!」
褒め言葉のシャワーを浴びながら、果音は初めてバーバラの名前を知った。
―日高由美―