ちなみに、EUの税率がなぜここまで高いのかというと、まず共通通貨であるユーロの価値を維持するために、EUの取り決めで加盟国の借金をGDPの60%までと決めていた事と、EUは他の国々と違い地方、国以外にEU連合という、もう一つその上に行政、立法組織が別に存在するためで、各国の国民はその分の運営費まで税負担が課されているためです。
そして、この重い税負担により、各国の失業率は発足当初から二〇〇〇年代初め頃までは、軒並み10%近くにまでなっていました。問題は、日本で消費税を30%にするという事は、EUのそれをも超える税負担になるため、今の弱り切った日本経済では、まず国民生活が持たないという事がハッキリといえるのです。
しかも財政再建それ以前に、消費税を増税する事によって、ただでさえ少子化によって疲弊している現在の日本経済が、更にそれに輪をかけて衰退する事にもつながってきます。
消費税を増税する事の危険性
私は基本的に消費税をこれ以上上げる事には、絶対反対です。ただでさえ日本経済は少子化によって弱っているのです。そこに、更に増税をするような事は、明らかに自殺行為でしかありません。そればかりか消費税を増税するという事は、日本の中小企業を更に弱体化し、それにより今よりずっと貧富の差が拡大する事にもつながってしまうのです。
そもそも消費税とは、誰に対して何にかけられる税金でしょうか? 普通、一般的な解釈通りに捉えるならば、日本国内でモノやサービスを購入した際に課せられる税金の事なのですが、これが企業の経営者の立場からするとまた話が違ってきます。
ほとんどの企業経営者は、消費税とは「消費者が支払うものではなく、企業の売上に課せられる企業が支払う税金で、赤字の会社からでも、税金を取り立てる事ができる政府にとっては非常に都合のいい税金」としか捉えていません。
なぜなら、長年デフレスパイラルによって苦しめられてきた現在の日本の経済状況では、簡単に税金の増額分を価格に転嫁できないからです。その証拠に、消費税を増税すると必ずGDPがマイナスに成長してしまいます。先ほどもいいましたが、仮に10%増税すれば今まで売上だったものの一割が消費者からの消費税の預り金になってしまうのです。
財務省の理屈が正しければ、仮に消費税を10%増税したとしても売上が下がらないはずなのです。しかし、実際のお客さんの所得が上がっていない以上、そんな事は現実的にはありえません。