帰ってきたクロ
それから3日目の夕方です。兄の一郎も純二も弟の宏も、クロのことはちょっと忘れていました。
「カー。カー」
窓の近くでカラスの鳴き声が聞こえてきました。
「あっ」
何か聞いたことのある声に、皆、窓の外を見ました。窓の向こうの車庫の屋根にカラスがいてこちらを見ています。
「クロだ。クロが帰ってきた」
純二は窓に飛んで行って。急いで窓を開けました。
「おーい。クロー」
と叫ぶと、バタバタと羽音をさせて、クロが窓の桟に止まりました。中をキョロキョロ、右目と左目で見回しています。
「クロ、お帰り」
と一郎が言いました。すると、クロがいつものようにピョンピョンと跳ねながら入ってきて、机の上を歩きました。
「クロはきっとお腹が空いているよ」
と母の春子さんがご飯をクロのお皿に載せて持ってきました。クロは、直ぐにご飯と魚をきれいに食べてしまいました。
「もうおやすみにしようか」
と母の春子さんが、電気を少し暗くすると、ピョンピョンとクロは、自分のかごへ入っていきました。
「疲れているのかもしれないね」
と春子さんがいつもの風呂敷をかけてあげると、そのまま静かにしていました。一郎も純二も明日までの宿題をしなければなりません。もう一度電灯を明るくして、机に向かって勉強をしました。