第二章 招魂と入れ替わり
致嗣と別れ教室に戻ると、仲のいいクラスの女子が聞いてくる。当たり前だ、普段話す事の無い二人が連れ立って出て行ったんだから。
「何だったの、文句言い?」と裕子(ゆうこ)が聞けば、
「恋告よねぇ~?」とふーちゃんが言い、
「何言ってんの、図書委員の伝達報告よね?」と友(とも)がしたり顔で話す。
情報通の裕子、お気楽なふーちゃん、いつも何か冷めた感じの友、私の気の置けない友達だ。みつめてくる三人を前に、少し狼狽(うろた)えながら
「えぇーと、違うの。水野君は兄の釣り仲間で急いで話したいんだけど携帯が繋がらないから、部活も試合に向けて頑張っているので遅くなるから、伝えておいてほしいと」
一気にしゃべったけど、変だったかなぁ~
「何それ、初耳なんですけど。洋子、帰宅後は一組の水野君と前から話する仲だったの?」と探るように聞いてくる裕子。
「だから、兄とよく釣りに行くのよ。釣り場に直接行くことが殆どで、私とはホント話したことが無いのよ」と私。
「急ぎの用って何なの?」と友が聞いてくる。
「それが、釣り竿のロッドって言うんだけど、ロッドスタンドがヤフオクで今だったら、二台買うと凄く安くなっているという話」
上手く話せたかなぁー、致嗣に別れ際、考えてもらった皆に話す言い訳……信じたかなぁ~と思いながら皆の反応を待っていると、
「洋子、随分と機械的ね。あー、まーそういう事なのね。それよりもうすぐ夏休みじゃない。この前も話したように、中学最後のイベントと言う事で、私達お気楽な高校推薦入学者としましては一泊旅行などどうですか?……東京か大阪の遊園地と思いきや京都ではんなりとか、どうどす」と裕子。
「泊まるとなると、前も話したけどちょっとわからない。友んちもふーちゃんちもOKは出ているの」と私が聞けば、