「まあ聞いてみないとわからないけど、女子だけで行くんだから、いいんじゃないかなぁ」と友がいい、

「洋子が行くなら、多分いいと言うと思う」とふーちゃん。

えぇー、私次第。責任重いなぁ~と思いながら、私の都合を伝えておく。

「まぁ計画は裕子に任すとして、私は家の者に話してみるわ。あっそれから、休みの初めはちょっと用事があるので、後半にしてください。それでもって親の許しがもらえるように、全力で頑張ってみます」

致嗣との事は怪しまれる事なく、夏のイベントの話にすり替えることが出来た。それから数日して、終業式も近くなる頃、裕子が意気揚々と話してきた。

「決めたよ。場所は京都、日にちは夏休み最終の週、曜日は木金で行きます。一応アトラクション物の所も考えたんだけど、安い宿が全て埋まってて取れないし、何しろ混雑してる。だからやっぱり、三年間の中学生活を癒やす為にも、温泉のある所と思い、それに浴衣を借りて市内観光も出来るし、おまけに休みの最後の週だから空いてる、そして土日じゃないから安い。ということで嵐山温泉へGOですぞ」

嬉しそうに報告する裕子を見ながら、皆と行けるならどこでも楽しそうだと思うのでした。旅費宿泊代はネットで申し込んだから、裕子に支払う事で済む。

私の親も女の子同士での一泊旅行に初めはちょっと渋い顔をしていたが、ただ遊びに行くんじゃなく京都御所などを(この場所に行くとは、まだはっきり決まってなかったけど)後学のために皆で見てこようと思うと言ったら、何とか許可してくれた。

それぞれに忙しいということで、旅行の週に連絡を取り合うということになりました。それで、致嗣の話ですが、あいつは夏休み前に試合があったが、残念な結果に終わったらしい。落ち込んでいるかも知れないが、あれが早く進められるから長引かなくて良かったと私は内心思っていた。

休みに入り、携帯で連絡を取り合い、土曜日会うことにした。今日も朝から暑いが、それでも社の辺りは木々が茂って、涼やかな風が吹いている。

久しぶりに会った致嗣は、まだ試合の心残りがあるのだろうか、少し消沈しているように見えた。それでも今から始まる事を思うとワクワク感はあるだろう。

【前回の記事を読む】歴史の話で意気投合する一人と一匹に、ぽつんと一人疎外感…。