小説 絵本・漫画 絵本 アイデンティティ 2023.12.31 【絵本】なまえで呼ばれると、照れたり、もっと頑張れたりする! 【前回の記事を読む】【絵本】みんな名前を持っている。おばあちゃんも、郵便配達の人も…
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』 【第10回】 宮野入 羅針 お父さんがなくなった日... 私がいれば事故に合わなかった。あの日、夢に一歩近づく父を拒絶してしまった―。 【前回の記事を読む】処女だった彼女は、僕に身を委ねてくれた。殺風景な六畳の和室、薄い布団に包まりながら、僕の胸に顔を伏せていた。 「あれって、大学に来た時着ていた服だよね」ハンガーに吊るされたラベンダー色のサマーニットを眺めて僕は尋ねた。「小樽を出るとき、お母さんが買ってくれたの。わたしの大事な服。ラッキーカラー」彼女は青春期を過ごした小樽の町のことを語り始めた。沙耶伽の口からほつほつと紡がれる…