私は尋ねた。
「私、大学進学はやめて、就職することに決めました」
「ああ、やはりそうするのね」
「だけど、とても良い知らせがあります」
「どうしたの?」
「私、以前、青空文芸社のコンテストに応募したことがあったでしょ?」
「うん」
「その青空文芸社から昨日電話がありました」
「うんうん」
「コンテストの結果は二番で入賞はしませんでした」
「うん」
「でも、とてもよく書けていて、将来を期待できるから、これからも頑張って欲しいという内容の電話だったの」
「スゴイじゃない」
「それでね、私、話をしたの」
「何を?」
「実は、私の両親の経営する本屋が閉店することになって、自分は大学進学を断念して、就職しようと思っているって話したの」
「そうしたら何て言われたの?」
「そうしたらね、うちの会社に来ないかって言われたの」
「えーっ」
「一から指導していくから、編集者になってみないかって言われたの」
「やったー」
「それで私、ぜひお願いしますって、即答したの」
「おめでとう」
「うん。ありがとう。私、子どもの時から本が大好きで、本に関する仕事に従事できることになって本当に嬉しい」
「良かったね。私も嬉しいよ。本当におめでとう」
「京子たち聞いてくれる? 私も報告したいことがあります」
「何?」