翔はベッドの方を指差すとマネージャーが吃驚した顔をして「この男は?」とヘッドギアを付けた翔に聞いた。翔は「この男ともう一人の男が部屋にこっそり入って来るなり襲ってきました!」と話しながら未だベッドに刺さったままのナイフを指し示した。
マネージャーは刺さったナイフを見て吃驚し、ガードマンに顎で示すとガードマンはハンカチを出してナイフを引き抜きマネージャーと翔に見せた。
翔はベッドに転がっている男の腹に有るナイフの鞘を示した。
マネージャーは其れを見て頷き、男が転んだまま動かないのを見て「死んでいる?」と翔に尋ねた、翔は首を振って否定し「二人いたがもう一人は逃げました!!」と応え床に落ちているナイフを示した。
マネージャーも床に落ちているナイフとベッドで倒れている賊を又見て更に目を丸くし、吃驚した顔をしながら誰へともなく「本当に一体何が起きたんだ!!」と呟いた。
ガードマンが「賊が押し入ったようで一人はこの方が倒し、もう一人は逃げ出したようですね!」と呟き、床のナイフを回収した。
マネージャーが「お客様、お怪我は?」と聞いてきたので翔は「有りません!」と応えた。
ガードマンがベッドに横たわる賊を引きずり下ろし、特に傷が見当たらないのを見て、翔の顔を覗くと、翔が賊の凹んだこめかみを示し「ベッドに落ちている果物ナイフの柄が当たり気を失っているだけです」と言いながら「多分、骨まで……」とボソッと言い黙った。
ガードマンは唸るような声を出して、見事な対応を見て改めて感心していた。
ガードマンは直ぐ賊のベルトを使って後ろ手に縛っていると、マネージャーが取り敢えずガードマン控室へ連れて行きしっかり監視するように指示した。