おそらく見知らぬ人が来ても絶対にドアを開けないようにと教育されているのだろうと想像は付きましたが、私は「道に迷ってしまったのだけどメリーマウントカレッジはどこですか?」と閉まったドアの中に聞こえるような大きな声で何度か聞いたところ、やっと理解してくれたのか、もっと坂の上だよと教えてくれました。
あとから考えて他人の家の敷地内に無断で車を侵入させ、家の玄関まで行った行為はかなり危険だったように思いました。
たまたま大人が居なかったからよかったものの、もし大人が居て、不審に思い、銃で撃たれていたとしても文句は言えないシチュエーションだったのかもしれません。
それをあとで考えたら思わず背筋が寒くなりました。無事に学校にたどり着いた我々は、メリーマウントカレッジでの、FLS international (FLSは大学やカレッジ内にキャンパスを設けている)の短期留学のコースに参加するためのレクチャーを受け、クラス分けをするためのプレースメントテストを受けました。
私の英語の実力は中学三年の時に英検三級を取得してから、その後、通信教育で勉強していた程度だったので、高校卒業から三十九年を経てそれはそれは悲惨なレベルでした。
中学二年の陽介と比較しても辛うじて私の方が上という結果だったため、陽介の「お父さんと同じクラスでは嫌だ」という主張を受け入れ、私が自分のレベル以上のクラスに入り我慢することとなりました。