第三のオンナ、
「……ううん。別に」
三人めに会うと死ぬのよ。なんて、千春のように気安く言えるはずがない。
「それでは、失礼します」
そう言うと、はるかは人ごみに紛れ消えていった。わたしは仕方なく適当に時間を潰すことにした。一人のときの食事は決まってファーストフード。
そして、渋谷の街をぶらぶらとウインドウショッピング。本屋でなんとなくタイトルが気に入った恋愛小説を見つけ、衝動買いした。カフェの窓際に座り読みふける。気がつくと、西日が差し込んできた。
そろそろいかなきゃ。
わたしは羽田空港へと急いだ。貴輝からは北九州十八時発の羽田十九時三十分着で帰京すると聞いている。彼が出張で福岡へ旅立ってから一週間が過ぎていた。九州各地を転々としていたらしいが、その間、連絡が一度もない。こういうのは初めてだ。
どうして連絡をくれなかったの?
ガーデンプレイスの件は聞けなくともこれなら自然に尋ねることができる。
京急線の羽田空港国内線ターミナル駅。わたしは第一ターミナル改札口の前で、人待ち顔で立っていた。早く貴輝に会いたい。突然現れたらびっくりするかな。
だが、待てども待てども貴輝は現れない。とうに到着時刻は過ぎているというのに。家路を急ぐ人々の中を懸命に彼の姿を探した。二時間が過ぎた。
ひょっとして乗り遅れたとか。あるいは、何かわけあって急遽、違う便に変更したのだろうか。そう思ったところでどうしようもない。