わたしは電話をかけた。

『おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません』

受話口からは無機質なアナウンスが空しく流れるだけだった。

「嘘でしょ!?」

翌日、偶然キャンパスで千春に会ったわたしは、はるかが交通事故で死亡したと聞かされ肝を潰した。千春は悲しいといったふうでもなく「これ」とスマホを取り出して見せた。

画面はネットニュースで、九十九はるか(十八歳)が昨夜、都内の交差点で信号を無視した大型トラックにはねられて即死したという記事が表示されている。

「この子が、あのはるか?」

千春が小さく頷いた。

「本当に本当なの?」

わたしは食い下がる。とにかく信じられないのだ。千春は、スマホを素早く操作し、ツイン・ファクトリーとは別の交流サイトを見せる。たしかにあのはるかの顔写真がアップされていた。そして、アルファベットだが、ツクモハルカ、と名前がある。こちらのSNSは、まゆ実も利用している実名登録が前提なので間違いないのだろうが……。

「同姓同名じゃないの?」

千春は首を左右に振ると、証拠とばかり、ツクモハルカという名前の一覧を表示して見せる。該当者は一人だった。

「三人めに会うと死ぬんですかねー。以上」

さらりと千春は言い、いってしまった。愕然と立ち尽くすわたしを残して。