コウキ:周知のように、仕事や勉強などをする場合の脳の状態についてはシングルタスク脳とマルチタスク脳があります。ここで「シングルタスク脳」とは 1 度に 1 つの課題(シングルタスク)に集中している脳の状態です。この場合、脳はそのことに集中しているのでストレスが少なく、気分も爽快で効率性や成果も上がります。これは瞑想している状態に近い状態です。

他方、「マルチタスク脳」とは同時に複数の課題(マルチタスク)を処理している脳の状態であり、いわゆる「ながら状態」で例えば、スマホを使いながら自転車や自動車を運転しているような状態です。この状態では脳の注意力は複数のものに分散しており、脳に非常にストレスがかかる状態であり、効率性や成果も低くかつ危険を伴います。

サキ:よくわかりました。集中するのにはシングルタスク脳の状態が良いのですね。それに関連して隙間時間でもシングルタスク脳の状態が良いのですか。

コウキ:先程の説明は、本格的に真剣に仕事や勉強に集中する時にはシングルタスク脳の状態がベストであると言いました。他方、例えば、電車通勤のような「日常的な隙間時間」でそれほど集中しなくても済む作業などの場合には、マルチタスク脳を徹底的に有効活用することが有用です。

このような場合には、通勤時間に何もやらないのは時間の無駄となるので、新聞や本を読んだり、音楽や英会話のCDなどを聞くことが有効です。このように TPO(時・場所・状況)に応じて臨機応変に脳の使い方を変え、柔軟に行動することが大切です。

サキ:よくわかりました。臨機応変に対処するということですね。ところで「集中」に関連して試験などで「実力を発揮するために良いセルフコントロール法」はありますか。

コウキ:日常生活・ビジネス・試合や試験など大切な場面で緊張や不安などの感情を緩和し、それに集中して平常心で本来自己が持っている実力を最大限発揮するためのセルフコントロール法として、

弛緩法(リラックス法:緊張を解き、自然体・平常心で最高の成果を上げるための方法)と、②高揚法(サイキングアップ法:気分を高揚させ奮起し、最高の成果を上げるための方法)があります。

より具体的には気分をリラックスさせる弛緩法としては例えば、呼吸・瞑想・ヨガ・座禅法、スローテンポの音楽法、ルーティン法、メタ認知法、セルフトーク法、つぼ法、タッピング法、軽い体操・運動法、入浴法、睡眠法などがあります。

他方、気分を盛り上げる高揚法としては例えば、アップテンポの音楽法、タッピング法、大声法、軽いウオーミングアップ法、ルーティン法などがあります。


注1 なお、免疫力にはウイルスなどに対する肉体的免疫力とネガティブなエネルギーに対する精神的免疫力があります。

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