カトマンザ
♪ごきげんよう
上手く言えない時もある
ごきげんよう
おしおきされてる末っ子坊や
ゆらゆ~ら
ゆらゆらゆ~ら
こっちにきたら大はしゃぎ
げらげ~ら
げらげらげ~ら
こっちにきたら大はしゃぎ
大はしゃぎ 大はしゃぎとっとっと~
とっとっと~
とんでもないこと起りそう
「光に向かって歩いていたら歌が聞こえたんだ、ごきげんようって」
緑のカンファタブリィの広間ですっかりくつろいだ様子の狢がそう言うと、ハンモックの上でラッキーが答えた。
「う、う、う歌、うう歌った」
「それで光の方に行けばきっと誰かいるんだって思って」
「よかったわ、ラッキーの歌が道案内したのね」
ナンシーが美しいフォレストグリーンの目を細める。
「その耳、よく聞こえそうだものね」
カナデがそう言うと、狢はドアの方に目をやった。
「あの耳には負けそうだけどね」
「レグナには誰もかなわないよ、アリの足音が聞こえるんだから」
「アリの足音が?」
狢は感心しながら向き直り、あどけない顔のカナデをもっとあどけない顔で見つめた。それからキャンドルの火を消さないようにほうっとため息をついた。よく見るとレグナはまだ完全に光を消しておらず、耳の奥にうっすらと明るさを残していた。
「また誰か来る」
カナデがひとりごとのように言った。