しかし、日本の企業の国際的競争力を維持していこうとするのならば、企業はたとえ無駄だったとしてもこのような技術の開発を続けていかなければなりません。

水素自動車にしても、単に自動車から排出されるCO2の削減という観点だけではなく、水素という比較的地球上に豊富にあり、他の分野にも応用でき、二酸化炭素を発生させないエネルギーの生産の利点から考えても、資源の少ない今の日本が、今後この技術の開発に積極的に取り組んでいかなければならないはずなのです。

しかし、国内市場を育てず、常に世界の市場にだけ目を向けた技術の開発では、必ず最先端の技術の開発が後手に回ってしまい、国際的な競争力を維持する事は今後難しくなってきます。

このため、その受け皿として日本の市場が、十分その開発費用の元が取れるくらいまでの規模である必要があるのです。つまり、利便性が良く世界を相手に戦っていけるだけの高い技術力の開発には、それに見合うだけの市場が企業には必要なのです。

今こそ日本政府は、国の供給能力の分野だけを見るのではなく、日本という国をどう素晴らしい市場に育てていくべきかを考えていかなければなりません。

そして、企業が求める素晴らしい市場とは、少子高齢化による老人ばかりの市場ではなく、常に若者が最新の流行を生み出していくような市場であるべきなのです。そしてそれこそが、我々経営者が真に求める投資しがいのある、魅力的な市場なのです。