5.人生の転機

転職劇の始まり

私は助産師で大学教員、夫は結婚から数年後、脱サラして起業し、会社社長になった。夫婦共働きで経済的不自由もなく、可愛い子どもに恵まれ、年賀状には「幸せな家族」しか映し出されていなかった。自分でもそう思っていた。そう思おうとしていた。

共働き夫婦として生活、妊娠、出産、子育てへ。ところが、子育ての途中で私の人生は一変した。私の仕事を支えたいと言ってくれていたはずの夫から、ある日「仕事を辞めてほしい」と言われた。

続けて「三歳の子どもにはお母さんが必要だ、父親ではだめだ、あなた助産師でしょうが」と。三歳児神話? いや、そんなこと言わないで、三歳児神話に負けたくない……、安心できる保育園に預けているのだし、保育園の送迎もして、病気の時はもちろん看護もして、お母さんらしいことは精一杯しているじゃない、そう思った。

しかし、私の職場環境が激変した。子育てする部下教員の私に様々な配慮をしてくれた上司Y先生(ヨシちゃん、後述)が大学を去った。温かな母校の雰囲気そのものも去った。