高垣が気になっていた質問を翔にした。

「翔! 俺達は倒れたテーブルに押されて床に転がったまま、激しい銃声が聞こえたので動けずじっとしていたけど一体何が起こったんだ?」

翔は再度テーブルを突き飛ばした事を謝り、「二人は何も怪我をしなかったのですか?」と尋ねた、西田が其れを受けて「俺達は全く怪我をしていない」と応えた。

其れを聞いて事の起こりを翔が語り出した。

「ジャイルズの前座の演奏から何かチリチリするとお話しした事を覚えておられると思うのですが、其れが高垣さんの確か三つ位後ろの席に男女三人のグループが居て、ジャイルズの演奏が始まっても彼らは全く関心が無く、聞いてない雰囲気でじっと王子のグループを見ていたんです。まるで其処だけエアポケットでした。

ジャイルズの『ロング・アンド・ワインディングロード』の演奏が終わり、ロックンロールミュージックが始まった時です。よく見ると三人の内二人が居なくて一人だけになっていました。

少し見ているとその一人が丁度私達のテーブルから四段程上の方へ向かって突然手で合図をしたので、合図した先の方を向いたら王族達の方へ向いて男がスローモーションのようにハンドガンを引っ張り出したのです。

それを見たら身体が勝手に動いて前のテーブルを押し倒し王子グループのテーブルの方へ思い切りジャンプしたのです。と同時に凄まじいハンドガンの音が響き、テーブルごと崩れ落ちた体勢のまま動けずにいました。

すると身体が突き飛ばされ仰向きになっていた処を高垣さんに起こして頂いたんです」

高垣は其れを聞いてあれは間違いなく王子グループを狙ったテロだったんだ! と気づいた。

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