今後の日本のとるべき道

それでは、現在の日本国民が、政府に対して本当に望んでいる事は何でしょうか? 

それはもちろん、全ての国民が望んでいる事は、所得の増加です。それも、毎年増加し続けなければなりません。けっして去年と同じではダメなのです。それを一般の国民だけでなく、我々経営者も企業の売上という形で欲しいのです。

しかし、コロナ禍が起こる数年前までは、形だけは好景気でしたが、国内の実体経済はいわれていたほどの力強さはありませんでした。

経営者の一人として、自民党政権にハッキリいっておきますが、会社の売上が毎年増加するようであれば、企業は黙っていてもこれ以上内部留保を増やす事はせず、積極的に設備投資や働く社員の賃上げを行います。それがないという事は、日本が現在そういう状態にないという事なのです。

そして財政再建に関しても、図⑫「日本経済の20年間の推移」の図からもハッキリわかる通り、今現在、全く改善されるメドが立っていません。

何度もいいますが、今のまま毎年約二十三兆円以上の国債を発行し続けるためには、最低でも年率2.0%の経済成長が必要なのです。たとえコロナ禍がなかったとしても、安倍政権時の経済成長程度では、膨れ上がる社会保障費に対しては何の足しにもなりません。

しかしながら、この事は何も安倍政権に限った話ではありません。今までの日本の歴代政権は、日本の企業の国際的競争力をいかに上げていくのかという点にのみ力を注ぎ、日本の市場をこれからどう育てていくのかという点に関しては、全く考慮されてはきませんでした。経済的にいえば、供給能力を上げる事にのみ力を注ぎ、市場を育てるという事を一切してこなかったのです。

しかし、その国の経済が、順調に成長しているように見えても、ある時点になれば、政府はその運営方針を一八〇度転換しなければならない時が必ず訪れます。それが、その国の総供給が総需要に追いついてしまった時です。そして、その際に必ず起こる兆候として、バブルが発生し、崩壊するのです。

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