第4章 三角関数の公式

三角関数が理解されると、複素数まで範囲を広げて今までの知識を整理する必要を感じます。

この章では、

・平面座標における加法定理

・複素平面における加法定理

・二倍角の公式

・扇形の面積の公式

を解説します。

第1節 平面座標における加法定理

加法定理を証明するときに、最も面倒なのは、正確に作図することです。個人で作図するのは面倒ですから、教科書や参考書の図に頼ることになります。コンピューターによる作図も、線を引く小プログラムを作成するのは難しいのです。しかし、複素数を使った加法定理の証明は簡単です。

加法定理を理解するには、作図で理解し複素数で数式を記憶するのが現実的です。

・加法定理の論理図解

Dの座標は2通りあります。これが加法定理の公式となっています。

D(cos(θ+φ), cos(θ+φ))

D(cosθcosφ-sinθsinsφ,sinθcosφ+cosθsinφ))

第2節 複素平面における加法定理

【案内】複素数表示は記憶の助けとなります。

・複素平面での加法定理の表現

平面座標の点(cosθ,sinθ)は複素平面ではcosθ+isinθと表現されます。

加法定理からもわかっていることがあります。

cos(θ+φ)=cosθcosφ-sinθsinφ   sin(θ+φ)= cosθsinφ+sinθcosφ

次の計算ができます。

・ cos(θ+φ) + isin(θ+φ)= (cosθcosφ-sinθsinφ)+i(cosθsinφ+sinθcosφ) 

・(cosθ+isinθ)(cosφ+isinφ) = (cosθcosφ-sinθsinφ)+i(cosθsinφ+sinθcosφ) 

この2式から

cos(θ+φ) + isin(θ+φ)= (cosθ+isinθ)(cosφ+isinφ)

さらに

 

を使って書き換えると、加法定理は次式になります。

ei(θ+φ) = eiθeiφ

次の定理へと進みます。

ei・nθ = ( eiθ)n     ド・モアブルの定理

図を描いて加法定理を証明するのは手間がかかりますが、複素数で記憶するのは簡単です。

【前回の記事を読む】弧と中心の角度・円弧の長さを、コンピュータも用いて解説!