【前回の記事を読む】"古今東西で最も優れている”脈診法習得の避けて通れない疑問
第2章 東洋医学的施術法によるアプローチ方法
伝統的脈診法を補完する役割を担う良導絡測定法
経絡異常の左右差を、良導絡の援用によって把握したら、後は、長野式治療に戻ります。そんないい加減な方法でいいのか、という批判もあるでしょうが、我々治療家の治療は、治ってナンボ、なのですから、過去や現在の治療家の、業績や理論や手技方法の「いいとこどり」をして、治療体系を築き実践して、患者さんの症状を改善させれば良いのだと考えます。
更に、私の治療経験からは、良導絡のチャート解析により、興味深い定型的な病理パターンを読み取ることもできます。各論で詳述する治療法でも述べますが、その一例を記すと、次のようになります。
・H5三焦経とF5胆経の測定値に顕著な左右差がある場合は、体の捻れがある事が多く、それは他の左右差がある経絡上の組織や器官や臓腑の異常が原因である事が多い。
・F1脾経とF6胃経の測定値に顕著な左右差がある場合は、膝関節症や、胃潰瘍、胃や大腸のポリープが診られる事が多い。
・H1肺経とH5三焦経に、ともに顕著な左右差がある場合は、気管支喘息や、肺疾患が内在している事が多い。
このように、良導絡の測定結果を読み解くことは、脈診では感知しづらい病態把握に役立ちます。
骨盤調整法・ヨガ・整体法・足操法等の自矯法の有効性と必要
病弱の体を強くするためや、健康体を維持し増進するために各種の自矯法が有ります。古今東西、今日に伝わる自矯法には、それぞれ素晴らしい特色と理論がふくまれています。我々は、そのうちで、自分の体質に合った方法を、根気よく継続する事で相応の効果を得ることが出来ます。
ヨガ・真向法・太極拳の極意は、その呼吸法にあります。激しい動きと静止、緩やかなストレッチと静止、これを呼気と吸気の組み合わせとともに理路整然と行う事により、自分で自身の運動器系器官を自在に操作できるようになります。腹式呼吸が自然にできるようになり、自律神経が安定します。
足もみ健康法も、自矯法として有効ですが、足のツボを細い棒で刺激する、大堀和三氏の理論には、一長一短があり、実践する時は注意が必要です。足の裏を人体全体に見立てて、足の指先を頭部に見立てて鼻や目の治療点と断定したり、土踏まずの下部を腸と見立てて腸疾患の治療点としている事は、いささか擬制にすぎると考えます。
確かに、足の裏には多くの経絡が走行しており、各経絡の起始穴である指先や、走行経路にあるツボを適切に刺激する事で、改善された経絡支配の組織・器官が活性化するのであり、特定の疾患に効く刺激点として設定するのは無理があると考えます。
但し、例えば湧泉穴付近を刺激すれば、腎経の改善に役立ちますので、利用価値はあります。この場合、私が推奨するのは、青竹踏みです。プラスチック製のものは痛いだけで効果が薄く、続ける事も望み薄なのに対して、自然竹(出来たら巾広のものと狭い幅のもののセット青竹がよい)を自分の足で強弱つけて、指先からかかとまで、まんべんなく踏む事で十分な効果が得られます。冷え取りや浮腫とりや血行促進などの効果が期待出来ます。
五味雅吉先生の骨盤矯正法は、画期的な自矯法だと考えます。体の歪みは、多くの場合に、骨盤の歪みを引き起こすので、この骨盤の歪みを矯正することで、体の歪みを正す事ができて、その結果、体の様々な不定愁訴が改善する、という考えは素晴らしいものです。