カラスのクロ

(突然(とつぜん)訪問(ほうもん

突然(とつぜん)の出来事に驚おどろきながら、家族皆みんなでカラスを観察していました。

純二が、「小さい頭なのに大きなクチバシが目立つね」と言うと、兄の一郎は「ちょっと怖こわい顔をしているね」と(こた)えました。

「このカラスは人を全然怖こわがらないね。人に馴なれているわね」と母の春子さんが言うと、父の和夫さんが、「どこかの家で飼かわれていたに違ちがいないな。帰る家が分からなくなったのかな」と言いました。

そうこうしているうちに、カラスは(まど)の縁ふちに近づいて、外を見ながら、“コンコン”と窓を()()いています。

「外に出たいのよ、きっと」と母の春子さんが言うので、純二が窓を開けてやると、さっと飛び出していきました。