EGAMI ラムカの戦い

「立て!」

一人の地の国の兵士が、床にうずくまっているラムカの脇を両手で軽々持ち上げた。ラムカはその兵士の股間に蹴りをくらわすと、兵士は痛がり腰を曲げ手を離し、起き上がるとラムカは軽くジャンプし兵士の頭部に回し蹴りをくらわし、兵士は頭から床に倒れた。

❽MONDO 本を奪われる

カイユの本を男が掴んで無理やり奪い、カイユに向け何かを喋りかけた。その時、カイユの体は勝手に動きだし、その場で高くジャンプし背の高い男の頭部めがけ、蹴りをくらわした。男は頭から崩れ落ちると、本は男の手から離れ地面に落ちた。

その直後、カイユもその場に倒れる。直ぐさまベルサが、カイユの肩を揺さぶったが意識はなかった。そこに何処からか猫が現れ、地面に落ちた本を口にくわえ走り去って消えた。

ベルサが抱き起こすと、カイユは目を覚ましたが、何が起きたのか覚えていない様子だった。ベルサは、カイユに男の頭を飛び蹴りをした事を伝えると、

「まさか……、僕が?」

と言って驚いていた。男に本を掴まれた後、体が勝手に動き、その後の記憶がなかった。まさか自分が、飛び蹴りが出来るなんて思ってもみなかった。

ベルサは、ラムカの蹴りのシーンを思い出しカイユとラムカがシンクロを起こしたのかも知れないと思ったが、何故そんな事が起きたのかは分からない。しかしラムカとカイユは何か繋がっている、そうベルサは確信した。

そこへ一台の小さな車が公園に現れ、バナルバが顔を出し叫んだ。

「カイユ! ジルがいない。ここに来ていない?」

二人は車に乗り家へ向かう中、バナルバから事情を聞いた。いつもの時間に家へ行ったがジルの姿が何処にもなったようだった。ジルは意識もなく、歩く事も出来ないはずなのに何処かへ消えた。

三人は家に着くと、家の中は物が倒れ荒らされていて、ジルも居なかった。カイユはさっき公園で、本を若い男に奪われそうになった事をバナルバに話した。その者がこの部屋を荒らしたのか? だとすると何者なのか? 狙いは本だったのか?

疑問だらけだが、いまはジルを探す事に集中した。

バナルバはカイユに聞く。

「他に行きそうな場所はないのかい?」

「そう言えばジルは元気だった頃は、納屋で作業すると言って、何時間も姿を見せない時があったよ」

早速、皆で納屋を確認しに向かった。

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