二
平成13年のツアーで訪れたネパールのルンビニーについて書き進めたい。ルンビニーは仏教4大聖地の一つである。ツアーには現地での案内人G(インド人の男性、40代か)が加わった。
Gは言った。
「お釈迦様が皆さんをインドへ呼んだのだ。だから皆さんはインドへ来ることが出来た。心がなければいくら金があっても出来ない。」
心があっても金があっても、インドの仏蹟へ行けない。「時代と国籍」が条件に加わるのである。
中田は今の日本に生まれたことを感謝している。有史以来、父祖が独立のために戦った、日本の独立が続くことを願っている。「付け火して 祖国焼きたい 回し者」と「名もいらず 命もいらぬ 愛国者」と、前者の声が姦しいが、まともな日本人のほうが多い、と中田は思っている。
Gはまた、日本での体験として、「大阪から東京へ新幹線で行こうとして、発車時刻に1分遅れてホームへ着いたら、列車は既に発車した後だった。インドでは30分や1時間は遅れのうちに入らない。何時ぞやの日本からのツアーでは、列車の出発が24時間遅れた」と言った。24時間の遅れは勘弁してもらいたい。
ネパールのルンビニーへはバスで向かった。バスは冷房がよく利いていた。3月で冷房なのである。高速道もバスは走った。片側一車線で、道の両端は1m程舗装されておらず、砂利が敷いてある。牛が高速道を横切ることもあった。自転車も走っているし、人も歩いている。車は右側通行で、バスは果敢に前の車を追い越して走った。
追い越すには、当然、対向車線に入らなければならず、対向車とかなり接近してから、危機一髪という感じで右側の車線に戻っている、と中田には見えた。これではいつ正面衝突しないとも限らず、シートベルトは無いし、お陰で、眠気に襲われることはなかった。