火葬場から僕と由美で、ばらばらな白い骨になって壺に入ったお父さんとお母さんの箱を持って帰ってきた。
台所の上がり口に白木の台を置いて線香立てとろうそく立て、おりんを置いて、お父さんとお母さんのお骨が入った箱を並べた。平井のおじさんにしばらくはそうしろと言われた。
僕は千恵姉ちゃんから離れない由美を置いて、そっと二階に上がって二段ベッドに寝転がった。僕がゲームをやめようと言えば由美もやめた。それだけでよかったんだ。
……道の駅のことを思い出しているうちに取り返しのつかないことをしてしまった後悔で体が縮こまってきて頭を抱えた。泣き声と涙が出てきた。自分の馬鹿さ加減に頭をかきむしった。布団の上で横向きになって、足が勝手にぴょんぴょんと動いてシーツにこすれてくるぶしが痛かった。足がすり切れて血が出てしまえばいいと思った。
千恵姉ちゃんがベッドのそばに来たのに気付かなかった。僕の肩に手を置いて、もう一方の手を頭に置いた。それで気付いた。
「ヒロ君は男の子だから、泣くのを我慢していたんだよね。お父さんとお母さんが亡くなったんだから、こんなに悲しいことはないんだよ。だからいくら泣いてもいいのよ」
お姉ちゃんは涙で目を潤ませて僕を見ながら優しく話しかけた。僕は首を横に振って「僕のせいでお父さんとお母さんが死んじゃったんだ」としゃくり上げながら、お姉ちゃんの目を見ないで言った。
「どうしてそう思うの?」
お姉ちゃんは優しく訊いた。僕は桃狩りのあとのアスレチックと、道の駅でのゲームのことをしゃくり上げながら話した。最後まで話を聞いてから、お姉ちゃんは僕にベッドを降りるように言って、下の段の由美のベッドに並んで座った。そしてお姉ちゃんは僕の肩を両手でぎゅっと抱いて、話し始めた。
「ヒロ君、よく考えてね。最後は、ゲームだったかもしれないけどー、その前のアスレチックもー、晩ご飯も同じでしょ。どれももっと早ければってことになるでしょう。どれがいけないなんて誰にも言えないことだよ……それよりもね、ヒロ君はこれからさあ、お父さんとお母さんに喜んでもらえるように過ごしていくことが大事なんだよ。自分のせいだって泣いていて、お父さんとお母さんは喜ぶと思う?」
千恵姉ちゃんは時々僕の肩をぎゅっと引き寄せてゆっくり、心を込めて話してくれた。辛い気持ちを吐き出して、それをちゃんと聞いてもらったから少し落ち着いたけど、お姉ちゃんに言われたことで納得したわけじゃなかった。